どまつり初日。大須笑店街☆21は3つの会場を回ることになっていた。最初の会場は大津通りパレード会場。今年のどまつりは20の会場が設けられていたが、審査員の前での演舞はこの大津通り会場だけである。この審査で選ばれた10チームだけが、翌日の夜のファイナルステージに進むことができるのだ。
それほど重要な会場でいきなり踊るとミスが出る可能性もあるということで、かなり早く集合して公園で練習してから本番に臨んだ。
パレードは4列縦隊で進む。私は一番右の列だった。去年は左側に審査員席があったので、審査員へのアピールは左側の人たちに任せようと思っていたのだが、どうやら今年は審査員が右側にいらっしゃるということが本番直前に判明した。責任重大である。動揺している私にさらに追い討ちをかけたのが、チームメイトの一言だった。
「・・・鼻毛出てるよ」
何ですとー!職業柄、マメに手入れしていたはずなのに、こんな大事なところではみ出しやがってー!鼻毛なんか出ていたら審査員の心証を悪くしてしまうではないか!かといって、もうパレードのスタート位置に立ってしまっており、衆人環視の中引っこ抜くわけにはいかない。右手の人差し指を折り曲げ、第二関節のところで必死に鼻に押し込んだ。
ちゃんと引っ込んだのか?踊ってる最中にまた顔を出すのではないか?えっ?鼻毛の顔ってどこだ?もう気になってしょうがない。吹けばとぶような一本の鼻毛に私の集中力は吹き飛ばされた。
それでも一度もミスすることなく踊りきったが、表情が硬かったかもしれない。こんなことでファイナル進出できなかったら、悔やんでも悔やみきれない。
つづく