猫に行き先、尋ねてみれば 旅行が好きで マタタビだ 歌丸です。いや、歌丸じゃないんだけれども、また旅だ。行き先はボルネオ。ボルネオは日本から南へ4000km、東南アジアの熱帯の島である。私は小学生の時、オランウータンの住む島としてボルネオを紹介している本を読んで以来、この島に憧憬を抱きつづけていた。小学生の頃にタイムスリップして、「お前、将来ボルネオに遊びに行くぞ」と教えてやったら、飛び上がって喜ぶだろう。でも、それがいい年した独身男の一人旅になってしまったことを伝えたらどうだろう?泣き出すかもしれないな。
何はともあれ、オランウータンである。敷地内にオランウータンが暮らす熱帯雨林があるというホテルをとった。高級リゾートホテルである。オランウータンのために奮発したのだ。到着してみてちょっとビビった。贅沢すぎたかもしれない。ロビーでは民族楽器の生演奏でお出迎え、目の前には3kmにわたってプライベートビーチが広がり、隣はゴルフコース、レストランやバーも高級感にあふれている。部屋もとても広々としており、ベッドがバカでかい。ダブルベッドに一人で寝るのだから、元 々でかいのであるが、普通のダブルベッドよりはるかに横幅がある。大の字になってももてあまし、土の字になって寝る。
眠りについたのは深夜1時過ぎだったが、翌朝6時前、ガバッと目を覚ました。聞いたことの無い鳥の鳴き声が聞こえてきたのだ。カーテンを開け、窓のすぐ向こうの熱帯雨林を見回した。とても伸びやかな声があたりに響きつづけていたが、姿は見えない。
結局、この美声の持ち主は見られなかったが、朝食を食べにレストランへ向かう道すがら、庭で、鮮やかな赤と黄色の花から、これまた鮮やかな発色のいい黄色の腹をした体長4c mほどの小鳥が蜜を吸っているのや、しっぽまで入れると1mを超えるオオトカゲが青紫の舌をチョロチョロ出し入れしながらのそのそ歩き回っているのが見られた。期待していた熱帯の生き物を続けざまに目にして朝からテンションがあがる。次は真打ち、オランウータンの登場だ。
つづく