自動車教習所に通い始めた。37年間、まったく自動車を運転する気などなかったのだが、担当している番組のプロデューサーに半年の間、毎週のように「おまえが結婚できないのは、免許を持っていないからだ」と諭され、ようやく重い腰をあげたのだった。結婚できない理由は他にいろいろ思い当たったんだけれども。
先週末、生まれて初めて運転席に座った。助手席には超ベテランの教官が座った。どのくらいベテランかというと、私が千葉出身であると知ると「おっ、長嶋さんだね~」などという反応の仕方をするぐらいベテランなのだった。
初めてのドライブは惨憺たるものだった。教習所内のコースをぐるぐる回っただけだったが、相当ヘタッピーであった。教習終了後、教官に「最初は誰だってこんなもんですよ」と慰められた。
「運転はね、うまくならなくてもいいんです。運転にうまいもへたもないんです。あるのはいい運転と悪い運転です。いい運転というのはしっかり安全を確認して運転することです。私はいい運転には自信があります。40年無事故ですしね。どうぞあなたもいい運転を身につけて下さい」
なるほど。ベテランの言葉には重みがある。
「うまい、へたなんてねー、本当にどうでもいいんです。私なんかよく孫に運転ヘタだって言われますからねー」
え?謙遜とかじゃなくて、ホントにヘタなの?
つづく