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2006年11月07日

相変わらずのテンパリドライブに親巻き添え その1

長野県との県境に程近い、新潟県十日町市の松之山に行って来た。ここには亡くなった祖父母の家が残っており、11月3日からの連休、私の両親と妹、叔父夫婦が集まるというので合流したのだ。

名古屋から松之山までは車で行くと6時間はかかる。そんな長時間運転する自信がないので、長野までJRで行き、そこからレンタカーで松之山へ向かうことにした。これならハンドルを握る時間は2時間半くらいで済むが、それでも、免許を取ってから一月ちょっと、まだ5、6回しかハンドルを握っていない私にとってはかなり難度の高いコースだった。

長野市を抜け、まず高速道路に乗る。高速に乗るのもまだ3回目だ。入り口でうまく発券機に近づけなかったために、シートベルトを外して窓から身を乗り出すハメになった。後続の車両が待っていたので、通行券を受け取るとすぐシートベルトもせずに発進したら、ピーピーと警告音が鳴り始めた。

「もう高速走り出しちゃってますもん、手遅れですって!今、この状況でシートベルトを締める方がよっぽど危ないですって!」という訴えはまるで汲み取ってくれず、ピーピー音はドンドンドンドン激しくなっていく。うわーん!追い詰められて仕方なく、走りながらシートベルトを締めた。車がグオングオン左右に揺れた。

高速を降りたあとも追い詰められ続けた。細くクネクネした追い越し禁止の山道で、後ろからずーっと同じ車がついてくるのだ。モタモタしてご迷惑をかけてはいけない。山々では紅葉が始まっていたが、一瞥もせずに走り続けた。

ドライブの間、車内では渡辺美里さんの2枚組ベストアルバムの一枚目だけが繰り返し流れていた。走行中にCDを入れ替える余裕がないので、出発するときに一度CDを入れたら、その一枚だけがオートリバースで流れつづけることになるのだ。「マイ レボリューション」をはじめ、数々の大ヒット曲が詰まったCDだが、さほどメジャーではない「泣いちゃいそうだよ」という曲がひどく印象に残っているのは、やはりドライブ中の私の心情とシンクロしていたからだろう。

何とか祖父母の家に辿り着くと、先に到着していた母に「おお、エラかったねー」と、初めてのおつかいから帰ってきた子供みたいな誉められ方をした。いくつになっても子供は子供ということか・・・・。

つづく

2006年11月09日

相変わらずのテンパリドライブに親巻き添え その2

私の父と母も、叔父夫婦もしょっちゅう夫婦喧嘩をする。料理の味つけやちょっとした物忘れ、オナラが臭いなど、本当に屁みたいな些細なことで互いに文句を付け合ってばかりいる。

私などは「もうちょっと仲良くすればいいのに・・・」と思ってしまうのだが、叔父に言わせると「こうやって夫婦喧嘩するのが人生の楽しみの半分だ」ということらしい。

まあ、楽しいんならどんどんやっていただければいいんだけれど、「お前どうすんだ、この楽しみもしらずに50、60になっても独りぼっちだったら・・・・」なんて話を夕食の席で叔父がし始めたものだから、父まで「あんまり言われるのも嫌だろうと思って今まで我慢してきたけど、きょうは言うぞ。いい加減結婚しろ!」などと言い出した。

我慢してた?妹の結婚式で司会の女性に「ウチの息子どうですか?」と訊いたことや、年賀状に「そろそろ結婚を考えたほうがいいと思うがどうだろう?」と書いてよこしたことは忘れてるのだ。でもたしかに小さな字で隅の方に書いてあったから、本当は極太マーカーで書きたかったところを我慢したということかもしれないが、私だって好きで一人でいるわけじゃないのだ。でもそんなこと言っても「高望みしすぎなんだ」と言われるのが目に見えていたので、黙って嵐が過ぎ去るのを待とうとしていたら、ちっとも親の思いを受け止めていないと思ったのか、母が「どれほどあなたに結婚してほしいと思ってるかわかってない!」と言い出した。

「岩手県の遠野の・・・、えーと名前は忘れたけど、何とかっていう神社に行ってごらんなさいよ。『伸郎に嫁が来ますように』って札が貼ってあるから」

この間東北地方旅行してきたって言ってたけど、そんなことしてきたのか。恥ずかしー。どれほど多くの観光客に「この伸郎って人、よっぽど・・・・・」と言われているのだろう。トホホ。

「俺だって・・・・・」

今度は父だ。

「毎朝仏壇に手を合わせて『伸郎に嫁をお願いします。南無妙法蓮華経、チーン』ってやってんだぞ」

チーンって・・・・・・・。それに南無妙法蓮華経だと、ウチと宗派が違っちゃってる気もする。

その後、叔父から「本来人間には子孫を残そうという本能が働くはずなのに、最近の日本人はその本能が衰えているんじゃないか?」という発言が出た。そして、「本能」という言葉から連想したのか、私の両親は、「おまえにはフェロモンが足りないのだ」という結論を出した。「もっとフェロモンを出せ!」だって。「フェロモン出せ!」って言われてもねー。

つづく

2006年11月13日

相変わらずのテンパリドライブに親巻き添え その3

翌日は両親と妹を乗せてドライブすることになった。「そろそろ人を乗せて運転してみたい」という私の希望に応じてくれたのだ。つくづく肉親というものはありがたいものである。

相澤家の墓はここ松之山にある。そう頻繁には来られない所だし、日ごろ父が「伸郎に嫁を・・・」などとご先祖の皆さんに無理なお願いをしているお礼参りもしなくてはいけないので、まずは墓参りに行くことになった。妹が言った。「この車、墓場行き?」

つづく

2006年11月20日

相変わらずのテンパリドライブに両親巻き添え その4

「何、これ?」

後部座席に座った妹が、私のカード類がちらばっているのを見つけた。クレジットカードや社員証、会員証、図書館の貸し出しカード。きのう財布からこぼれ落ちたらしい。きのう車の中で財布を取り出したのは、高速道路の料金を払った時だけである。そういえばポケットから財布がなかなか出なくって滅茶苦茶慌てたっけ。あの時ぶちまけたに違いない。それにしてもこれだけ派手にばら撒いたのに全く気付かなかったとは!どれほど運転中の私がテンパってるかを雄弁に物語るエピソードといえよう。

Kif_1135「命綱を!」

助手席の父はもちろん、後部座席の母と妹にもしっかりとシートベルトをしっかりと着用してもらい、車を発進させる。さわやかに晴れ渡った秋の休日。絶好のドライブ日和だったが、車内には緊張感が充満しており、ちっとも家族の会話が弾まない。

  墓には1Kif_1110_20分ほどで到着した。大した距離ではなかったので、特に事故もない。途中母から「ヘタクソ!」、父から「うわっ!」という声があがったくらいだ。

墓参りの後もドライブは続く。赤や黄色に彩られた山や高原をめぐった。山道の急カーブで突然対向車が現れると本当にびっくりしてしまう。軽く運転席から尻が浮くぐらい飛び上がるので、私の動揺ぶりは一目瞭然であり、父母妹に与えた不安も相当なものだったろうと思う。CDはきのうのままだったから、3人の胸にも「泣いKif_1129 ちゃいそうだよ」という歌声が刻み込まれたかも知れない。それでも最後まで付き合ってくれるのだから、肉親というのはつくづく有り難い。

3時間ほどドライブして祖父の家に戻った。三連休の中日だったが、仕事の都合で私だけ先に帰らなくてはいけないのだ。

Kif_1111_1   「じゃあ、また」

今度は一人で車に乗り込み、祖父の家を後にする。おや?走り出した瞬間に、見送ってくれた親たちの表情がおかしな変化を見せたような気がするぞ。何でだろう?何か俺、発進の時にやらかしたのかな?心当たりは・・・・・・しばらく走って気が付いた。

「あれえ?この道はどこに向かってんの?」

おしまい

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プロフィール

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「とめはねっ!」
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「犬のジュース屋さん Z」

【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
ニュースデータで解析!サンデージャーナル、特番など

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