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金沢 絆見つけ旅 その6

金沢市民の台所といわれる近江町市場にある定食屋で遅めの朝食をおいしく頂いたあと、港へ蟹を買いに行く。名古屋に帰ってから蟹鍋をするための蟹だ。近江町市場にも蟹は並んでいたが、港の魚市場の方が新鮮なものが手に入るのではないかということだった。S200701071235000

頭に魚を貫通させたような特殊な帽子をかぶった“サカナくんの兄”を自称するおじさんの店で1500円の蟹を2杯買い、とっとと帰路につく。日本海の上空には爆弾低気圧がやってきていた。まだみぞれ交じりの小雨が降ったりやんだりという天気だったが、雪になったら厄介だ。

「運転中すいませんが、ちょっとお知らせしておいた方がいいかなと思うので・・・」

北陸道を走り始めてまもなく、2列目に座っていた山川が運転席の大久保によびかけた。

「おなかが痛くなった人がいます。・・・・あの、別にスピード上げてくださいとかそういう意味でなく、情報としてお伝えしておきます」

「あくまで安全運転で」という気持ちから、変に遠慮した言い回しになっていておかしかったが、事態は切迫していた。助手席から振り返ると、3列目シートに座っていた岸本が前の席の背に突っ伏している。昨晩の暴飲暴食にやられてしまったらしい。しかし、こういう時に限って次のパーキングエリアが遠い。岸本の左右に座っていた女性たちが岸本に声をかける。

「少しぐらいなら漏らしてもいいから」

母性っていうの?女性たちは本当に優しいなーと感心した。でも、たとえ少しぐらいでも漏らせるわけがない。岸本の額に脂汗が浮かぶ。本当に辛そうだ。山川がみんなに呼びかける。

「お腹が痛かった時どうやって耐えたか、体験談を募集します」

うーん、どうやって耐えたっけ?喉元過ぎれば熱さ忘れるってなもんで、お腹が痛かった時どうしたかなんて憶えていない。結局呼びかけた山川本人が自分の考えを述べる。

「お腹に優しく語りかける」

胎教か!何かりっぱなが生まれそうだ。

「大丈夫だよって腸に語りかけたら、腸が安心するんじゃないかな」

実際に効果があるかどうかはわからないが、真剣な意見である。山川は自分自身とてもお腹が弱いということで、腹痛で苦しんでいる人のために何かしてあげたいという気持ちが人一倍強く、やがて「もう少しの我慢だよ」という気持ちを込めて、カーナビに表示されるパーキングエリアまでの距離を読み上げ始めた。

「あと1,6キロ、1,5キロ・・・」

いよいよゴールは目の前だ。しかしこういう段階が一番危ない。山崎さんから「もうあと少しだと思うと息切れしちゃったりするかもしんないから、少し多めの数字を言っといた方がいいんじゃない?」という意見が出た。すると「それにまだまだだと思ってたのに到着したら、嬉しい驚きだよね」と同調者が出た。でも嬉しい驚きになるかは甚だ疑問であった。一連の会話は岸本の耳にも届いていたはずだから。

しかし山川は「そっか」とあっさり納得して、数字を少し多めにしながらカウントダウンを再開した。

「あと1,8キロ・・・」

数字がさっきより増えてない?

つづく

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「とめはねっ!」
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「もやしもん」
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【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
ニュースデータで解析!サンデージャーナル、特番など

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