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河口湖でブラックバスを釣ろう その3

土曜日の朝9時。いよいよ河口湖への旅の始まりである。

「バリ島組はツアー代金だけで18万円かかるらしいですよ。俺たちは3万円で楽しめるんですからね。俺たちの勝ちっすよ」
岸本の言葉に力強くうなづくメンバーたち。それで勝ちとしていいかはわからないが、メンバー一人一人が楽しい旅にしようと心掛ければ少しはバリ組に近づけるかもしれない。しかし、集合したレンタカー店でこれから乗り込む小型SUVを前にしてとても憂鬱になっているヤツがいた。

「一念発起して37歳といういい年になってから免許を取ったクセに、結局十数回運転しただけでペーパードライバーになったのはどこのどいつだ~い?・・・・・アタシだよっ!」

アタシだ。アタシが前回車の運転をしたのは3月。それ以来一回もハンドルを握っていないのだ。もう運転するのが怖い。しかし今回のツアーでは私も含めドライバーは3人。目的地までの距離を考えると「俺は運転しないから、ヨロシク」と言って他の2人を納得させることは出来なかった。
誰が運転するかはSAなどで止るたびに3人でジャンケンをして決めることになっていた。もうずっとジャンケンに勝ち続けるしかない。そのための研究をしてこの日に臨んだ私だった。

こんな説があるのをご存知だろうか?
「攻撃的な性格の人はグー、受身タイプの人はパーを多く出す傾向がある」
今回のメンバーに当てはめれば、サディスティックなところがある山崎はグー、その山崎にいつもいたずらされている岸本はパーを出す確立が高いはずである。

そう決め付けて臨んだ結果、2回目のジャンケンで早くも負けた。

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」
エヴァンゲリオンに初めて乗り込む前の碇シンジのように「逃げちゃダメだ」というセリフをノーブレスで5回繰り返して、ようやく運転席に座った。

東名高速を一時間。緊張したが、まあ無難な運転が出来た気がする。最後にSAの駐車場に停める時に「ねえねえ、レバーのところのPって何だっけ?」と聞いて、助手席の岸本を唖然とさせたけれど。


つづく

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「とめはねっ!」
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【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
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