「思い出より、モノ」
これが今回のルビー婚の基本コンセプトだ。
温泉旅行なんかもいいのだろうけど、ゴールデンウィークにリゾートホテルに泊まったばかりだし、なかなか日程の調整も難しいので、今回は食事会だけにして、プレゼントにお金をかけることにしたのである。
以前から、運動嫌いの母に乗馬型フィットネス機器がいいのではないかと思っていたので、この機会に贈ることにした。
家電量販店に行くと様々なタイプの乗馬機器が並んでおり、試乗できるようになっていた。
片っ端から乗ってみたが、やはり高いものほど乗り心地がいいように思われた。
特に一番高い十数万円の値札がついたモノの乗り心地は、まさに馬そのものだった。
かつて乗馬旅行したモンゴルの風景が脳裏に蘇り、しばらく目を閉じて揺れに身を委ねていたら「あれ?相澤さんじゃないですか!」と知り合いに声を掛けられた。
何でこんなタイミングに限って知り合いが現れるんだろう?
さすがに十数万円のマシンは手が出なかったが、わりといいものを買った。
是非、毎日使い続けてほしい。
少なくとも錫の食器セットのような運命をたどることがないよう祈っている。
食事会は7月12日の土曜日だった。
私が千葉の実家に到着したのは午後4時だったが、乗馬型フィットネス機器はすでにその日の昼に届いていて、早速父も母も乗り心地を試したらしい。
「酒飲んでから乗ったら、気持ち悪くなった」
父は相変わらず休日には昼間から飲んでいるようだ。
つづく