「え!銀婚式じゃないの?」
実家には2週間ほど前に「結婚40周年のお祝いの食事会を催すから、その日は空けておいて」と電話してあった。
一言も「銀婚式」とは言わなかったはずだが、ゴールデンウィークに私に「銀婚式どうすんの?」と聞いてきた弟をはじめ、両親も、妹も、みんなこれは銀婚式のお祝いだと思い込んでいた。
「まだ金婚式には早いよなー。その前のお祝いといえば銀婚式なんじゃないか?」という適当な推測で全員一致してしまったのだった。
今までちゃんと結婚記念日を祝ったことがないからこうなってしまう。
「40年はルビー婚だよ」と、自分も最近まで知らなかったくせに偉そうに教えたら、父から「ルビー婚?『ルビコン川を渡る』みたいだ」という反応が返ってきて、親子の絆を感じてしまった。
食事会の場所は妹が予約してくれたのだが、予約の際、店にも「銀婚式のお祝いなんです」と伝えていたらしく、テーブルの上には「銀婚式おめでとうございます」というメッセージが書かれた紙が置かれていた。
「結婚して25年にしちゃ老けてるわねー、息子もとても25歳以下には見えないわ」と思われるのがイヤで、店の人が来るたび「銀婚式じゃなくてルビー婚でした」と家族声を揃えて訂正したのだった。
その後、食事しながら昔家族で出かけた旅行の思い出話などの話題を振ってみたのだが、ちっとも話に花が咲かない。
みんなちっとも覚えていないのだ。
やはり今回の「思い出より、モノ」という選択は正しかったようである。
ちなみに次は45年目、サファイア婚だ。
次回は勘違いされないように予めハッキリ伝えておこうと思う。