7月21日は海の日だったが、私は川にいた。
ゴムボートで急流を下るラフティングツアーに参加したのである。
「俺の水着、スピード社製なんだ」
この夏、海でも川でもプールでもこういうことを言うお調子者があとをたたないが、岡田君もその一人である。
ラフティングが始まってからも、誰も押していないのに「押すな押すな」と叫んで自分から川に落ちた。
それも執拗に繰り返すのだ。
落ちても安全な場所をこまめにインストラクターに確認しては、「押すな押すな」と言って川に飛び込んでいた。
みんなすっかり飽きていたし、落ちた人間をボートに引き揚げるのもなかなか手間がかかるので、ついにそのまま放置されることになった。
ライフジャケットを着ているので溺れることはない。プカプカと浮かんでいる。
もうゴールも見えていたので、そのまま一人でゴールまで流されていけばいい。
ところが、だ。
羨ましいことに後から来た見ず知らずの女の子グループのボートに引き揚げてもらったのである。
「えーと、趣味は・・・・」
早速自己紹介を始めている声が聞こえてきて、大変悔しかった。
つづく