さらに、通常では経験できない異空間が広がるという噂の縄文洞へ。
この鍾乳洞はかつて縄文人が住居として使っていたらしい。
入り口で懐中電灯を渡される。
洞窟内は一切照明がつけられていなかった。
懐中電灯の明かりだけを頼りにそろそろと歩いていく。
川口浩探検隊みたいである。(わからない人はお父さんに聞いてください)
右側の壁にくぼみがあり、その上に何やら二つの影が見えた。
ライトの先に浮かび上がったのは・・・・縄文式土器だった。
ここに縄文人が住んでいたというアピールであろうが、展示してあるというより、ただ無造作に置かれているだけなのだ。
しばらく行くとまたくぼみがあり、その上にスピーカーが置かれていた。
かつてはアナウンスなどを流していたのかもしれないが、今はもう明らかに使っていないようである。それがさっきの縄文式土器と全く同じような佇まいで置かれているので、こっちはこれも展示物と思って懐中電灯を向けてしまう。
「スピーカーかよっ!」と突っ込む者もいたが、「これはきっと縄文式スピーカーなんだ」と優しくフォローする者もいたのだった。
「あ、考える人だ」
さらに進んでいくと前方の大きなスペースに、確かに色合い的にはロダンの考える人を思わせる黒い銅像みたいなものが立っていた。
ただ、考える人より遥かに頭でっかちであり、頭がでかい割には知能が低そうであった。
かつてここで暮らしていた縄文人をイメージしたものだろうが、縄文人というよりも原人的なルックスである。
時折現れる黒い縄文人も怖かったが、我々が一番恐れたのは天井に密集するコウモリだった。見た目もあまり好感が持てないし、何よりいつ糞が落ちてくるかわからないという恐怖が我々を凍りつかせたのであった。
つづく