牛糞「フンっ!頼りないメンバーばかりだねえ。そんなメンバーであのずるがしこいサルに勝てると思ってるのかい?フンっ!はっきり言って無理だね」
カニ「え!誰ですかこのフンフン気取ってる人は?」
クリ「フンフン気取ってるけど、牛のフンだクリ」
カニ「牛のフンって、牛のうんちってことですか!・・・女子アナにそんな役・・・」
牛糞「フンっ!あたしが知恵を貸してやろうって言ってるんだ。言うことをお聞き!フンッ!じゃあまずハチさん、ひとっ飛びして、サルの家を偵察しておいで!」
ハチ「OK!じゃあ、行ってきまーす!ブーン!」
牛糞「他のみんな、よく聞きな。サルに勝つためには、ただ力を合わせるだけじゃダメだよ。それぞれが自分の持っている武器を活かすことが大事さ」
カニ「武器って?」
牛糞「例えば、ハチさんはああやって空を飛べる。それに針で刺すこともできる」
カニ「だったら僕の武器はハサミだね。あと水の中とか得意だよ」
牛糞「クリ!お前の武器は何だい?」
クリ「ええっ!武器?いきなりそのようなことをおっしゃられましてもねえ・・・。じゃあ、ウスさんの武器は?」
ウス「わしの武器は重さでごわす。わしがのしかかればたいていの者はのびてしまうでごわす」
牛糞「なるほど。ウスの武器は重さ・・・。じゃあ、クリは?」
クリ「・・・甘さ」
牛糞「甘さは武器じゃないよ!」
そこへハチが帰ってきました。
ハチ「ブーン、行ってきたよ」
牛糞「フンっ!サルのヤツ、呑気に昼寝でもしていたかい?」
ハチ「(首を横に振り)ブンブンブン、留守だったわ」
牛糞「部屋の中は見てきたかい?」
ハチ「真ん中に囲炉裏があって、あと土間には大きな水がめがあったわよ」
牛糞「フフーン。水がめと囲炉裏ねえ・・・・・。よしっ!作戦は決まったよ。みんな、出発だ!サルが留守のうちにヤツの家に忍び込んで待ち伏せするんだ」
まもなく5人はサルの家に到着しました。
牛糞「よーし、みんな今から私が言う場所に隠れるんだよ。そしてサルが自分の前に現れたら自分の武器を生かして戦うんだよ。まずカニくんは水がめの中!」
カニ「OK!水の中は大得意さ」
牛糞「ハチさんは天井で待機だよ」
ハチ「ブーン。このへんでいいかしら」
牛糞「ウスは屋根に登って待ってな」
ウス「ウス!」
牛糞「クリは囲炉裏の灰の中に隠れてな」
クリ「隠れるのはいいけど、わしはみんなのように武器を持っていないクリ。どうやって戦えばいいクリか?」
牛糞「何も取り柄がなくたって、全身でぶつかれば何とかなるもんさ」
クリ「武器はないといったけど、取り柄がないとは言ってないクリ。ちょっとひどいクリ。取り柄ならあるクリ。わしはとっても甘くておいしいクリよ」
牛糞「そんなに食べられたいのかい!」
クリ「いや、そういうわけではないクリ・・・」
牛糞「とにかくクリは全身でぶつかること、わかったね!」
そう言いながら牛のフンは家の入り口に寝そべりました。しばらくすると、サルが帰ってきました。
つづく