サル「あー、きょうも疲れたなあ。さてお茶でも沸かすか」
サルが囲炉裏に火をくべました。
灰の中に隠れていたクリは熱々に焼けました。
そしてその熱くなった体で思い切りサルの顔に体当たりしました。
クリ「クリアターック!」
サル「あちちちちち」
これにはサルもたまりません。
サル「水!水!」
あわてて水がめのところへ走っていきます。
そして顔を冷やそうと水がめにサブンと顔をつけました。
ところがそこではカニが待ち構えていました。
カニがハサミで
カニ「鼻をチョッキン」
としましたから、またまたサルは
サル「いたたたたた」
そこへ今度は天井から
ハチ「ブーン」
とハチが飛んできて
ハチ「チクっ!」
とサルのお尻を刺しました。
サル「いててててて。ハチだ!ハチがいるぞ、逃げろっ!」
家を飛び出したサルが踏んづけたのは牛のフンでした。
牛糞「フンっ!滑って転びなさい」
サル「うわっ!」
サルは牛のフンに足を滑らせ、すってんころりんと尻もちをついて、玄関の前に仰向けに倒れました。
あとはそのサルのうえに屋根からウスが飛び降りればサルにとどめをさすことができます。
ところがウスは飛び降りません。
しばらくするとサルは立ち上がって逃げていきました。
それでもウスは屋根の上で黙って見ていました。
ハチ「一体どうしたっていうのよ、ウスさん」
カニ「サルが逃げちゃったじゃないか」
ウス「サル者は追わずでごわす。もうわしがとどめをさす必要はないでごわす。サルはもう十分懲りたはずでごわす。わしたちがいつでもまた力を合わせられることがわかれば、もうサルも悪さをすることはないはずでごわす」
そう言ってウスはゆっくりゆっくりはしごを使って屋根から下り始めました。
その様子を見てハチが言いました。
ハチ「本当は思ったより屋根が高くて飛び降りるのが怖くなったんじゃないの?」
ウス「そ、そんなことはないでごわす」
ハチ「ほんとかなー。だったらそのはしご外しちゃえー」
ウス「や、やめてくれでごわすー」
つづく