注文するとメイドさんが茹でタマゴを一つ持ってきた。
このタマゴの殻をどうやって剥くのか?
メイドさんと客一人の共同作業が必要らしい。
何だか面白そうである。
「どなたかご主人様お一人・・・」とメイドさんが言い切る前に私は腰を浮かせた。
「早っ!」とみんなに言われながら、メイドさんの隣に座ると「普通がいいですか?スーパーハードがいいですか?」と訊かれた。
「スーパーハード!」
私以外のみんなが元気に声を揃える。
するとメイドさんが歌い出した。
♪あんまりそわそわしないで~ あなたのいいとこみたいわ~
某有名アニメの主題歌の替え歌である。
替え歌だから出来る限り元歌の歌詞を生かすのはわかるけれども、ご主人様のことを「あなた」呼ばわりでいいの?とツッコむ間もなく、メイドさんは「3・2・1」とカウントダウンを開始、「ドーン!」と叫んで私の額に茹でタマゴを叩き付けたのだった。
ガツーン!!!!!
鈍器で殴りつけられたような衝撃が走った。
スーパーハードってこういうことか!
メンバーたちが私の額を指差し「殻が刺さってる~」と言って笑うので、額を手で払うとパラパラパラとタマゴの殻の破片が落ちてきた。
本当に殻が刺さったのだろうか?
何しろ本人は自分の額がどういう状態になっているのか見えないのだ。
「きっと額の脂に付着したか、髪にひっかかっただけだろう。タマゴの殻が刺さるなんてことあるわけがないもの」と思っていた。・・・・この時点では。
つづく