フェリーは大隈半島と薩摩半島の先端を結んでいた。
薩摩半島の先端にあるのは砂風呂で有名な指宿だ。
砂風呂に入っているとものすごい勢いで腕の血管がバックンバックンいい出した。
めちゃくちゃ血行がよくなっているのだろう。
これが砂の力なのか!
15分ほどで砂風呂から出て、シャワーで砂を落としてから室内の浴槽に浸かる。
浴槽は二つに分かれていて、左側にはすでに岸本が入っていたので、私は右側の浴槽に浸かることにした。
かなり熱い。
41℃以上あるように思われた。
私が「熱いな」と声を掛けると、岸本も顔を歪めて「熱いっすねえー」と答えた。
さらにあとから私のほうの浴槽に入ってきた山崎が「熱っ!」と叫んだところで、従業員さんが浴室に入ってきた。
「そんなに熱いかい?」
そう言いながら従業員さんは、私と山崎が入っているほうの浴槽に手を入れた。
「ああ、いつもこのぐらいなんだ。熱いほうがお年寄りは好きなんだよねー。熱かったら、そっちのぬるいほう入って」
そっちのぬるいほう?!
「ぬるっ!」
岸本のほうの浴槽に入ってみたら38℃くらいしかない感じだった。
「何でこれで『熱いっすねー』とかって言ったんだよっ」
「俺、熱いの苦手なんすもん」
そりゃ感じ方は人それぞれだろうけどもさー、いくらなんでもこれで『熱いっすねー』はないわ。
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