打ち合わせのあと、ステファニーにホテルの近くのショッピングモールを案内してもらった。
とてもりっぱな建物である。
日本のショッピングモールに比べて空間にゆとりがある気がする。
そういえば私の泊まるホテルも4階から21階まで巨大な吹き抜けになっていた。
そういう建物を見ているだけでこの国の豊かさを感じずには居られない。
思わず「RICH COUNTRY!」と口にするとステファニーが「YES!」と自信満々に答えた。
「この国の若者は外国相手の商売の仕方を知ってるの」
その若者の中にはステファニーほかシンガポールコスプレクラブの面々も含まれるのだろう。
何しろ琵琶湖ほどの小国でありながら、今回も韓国、タイ、マレーシア、フィリピンが参加するアジアコスプレチャンピオンシップまで開催してしまうのだから。
ショッピングモールには飲食店もたくさん入っていた。
ちょっと多すぎじゃないの?というほど。
シンガポールはその昔、独身労働者が数多く出稼ぎに来ていて、その人たちはたいてい食事は屋台で済ませていたという。外食する人が多いのはその名残りかもしれない。
日本食の店も非常に多かった。
吉野家もあったが、日本の吉野家とは雰囲気が違い、ハンバーガーショップかカフェのようだった。
「日本の吉野家はサラリーマンばかりで、若い女の子は入りづらいところだけどねー」と言うとステファニーは「女の子が入りづらい店とか別にない。女性も男性と同じように働いてるし」と答えた。
男女同権もシンガポールのほうが進んでいるのかもしれない。
明日の準備があるというステファニーと別れ、一人でマーライオンを観に行くことにした。
決して観光目的ではない。
コスプレサミットのホームページ掲載用にシンガポールらしい風景を撮ってくるという任務が課せられていたのだ。
重ねて言うが、決して観光目的ではない。
が、夜のシンガポールを歩いているとワクワクしてくる。
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ビルが林立するシンガポールの夜景は昔アニメ映画「銀河鉄道999」で見た未来都市のようだった。
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それでもまだ雨後のタケノコのごとくニョキニョキと高い建物があちこちで建設中だ。
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「現在ビルの建設中です。ご迷惑おかけします」というような看板も見たが、日本の影響だろうか?ヘルメットを被った作業着姿の青年が目を閉じて軽くお辞儀しているイラストが描かれていた。
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そんなものは発見したけれど、マーライオンは見当たらない。
地図で見た感じでは15分も歩けば着けそうだったのに。
40分たった。
完全に迷子になっていた。
地図を見ながらキョロキョロしていたら親切そうな青年に英語で話しかけられた。
「どこへ行こうとしてるの?」
「マーライオン」
「えっ?」
「マーライオン」
「何だって?」
「マーライオン」
「何だろう?・・・・あなたの持っているその地図で指差して」
「ここ」
「ああ!マライオンのことか(笑)」
「マーライオン」ではなく「マライオン」と発音したようだが、大した差ないじゃん!どうして伝わらないんだろう?
「歩いていこうとしてるの?遠いよー。だってあなたが今いるのここだから」
とんでもないところまで来てしまっていた。
早い段階で90度ずれてしまったみたいだ。
また40分歩いておとなしくホテルに帰った。
つづく
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