シンガポール・コスフェストは遊園地やホテルのあるリゾート施設の一角にあるコンベンションセンターで開催された。
ステージは東南アジア1大きいらしい。
ステファニーは「100人乗っても大丈夫」と自慢していた。
「100人乗っても大丈夫」という表現を聞くとあの物置が想像されて「大して広いステージじゃないじゃんか」という印象を与えてしまうかもしれないが、そんなことはない。
「100人がラジオ体操しても大丈夫」くらいの広さがあった。
ステージの正面には座席も何も置かれていない。
広々と7mあけられている。
7m離れたところには審査員席があった。
ステージパフォーマンス全体を見渡すためには、これだけの距離が必要だそうだ。
そして、コスチュームの細部をチェックするために、パフォーマンスを終えた出演者はわざわざ審査員席の目の前まで下りてきてポーズを取ったり後ろ姿を見せたりするという。
審査員はものすごく権威があるみたいだ。
審査員席の後ろは6mほどカメラ用のスペースが確保してあり、審査員席とカメラ席の左右は出演者と関係者の席になっていた。
つまり、一般のお客さんは13mも離れたところからステージを見なくてはいけないのだ。
しかも立ち見。
なんか申しわけない。
最初に行われたのは「世界コスプレサミットシンガポール代表選考会予選PKラウンド」だった。
2週間前に代表選考会出場をかけた予選が開かれたのだが、2チームが同じ得点で並び、最後の1チームが決められず、日を改めてきょう、この2チームの審査をすることになったそうだ。
しかも、さらに劇的なことには、この両チームには去年シンガポール代表だった2人が別々に分かれて出場しているというのだ。
そりゃ、火花も散りますわな。
ステージにMCが登場し、まず審査員が紹介された。
審査員は3人。
まずシンガポールコスプレクラブのリーダー、タカハン。
タカハンは30代の男性で、自分がコスプレするよりもオリジナルのキャラクターやコスチュームをデザインするのが好きみたいだ。
彼のスケッチブックを見せてもらったが、西洋風の甲冑に漢字があしらわれていたり、陰陽師風の服を着ているのに、帽子は魔法使い風といった感じで、いろいろな国の文化がミックスされていて面白かった。
シンガポール人ならではのセンスかもしれない。
タカハンはシンガポールのオタクの皆さんの間ではかなり有名らしく、紹介されると大きな拍手が沸いた。
続いてスポンサーのシンガポール航空の人。
日本のアニメに詳しいわけではないが、「こういう審査をするのがとても好き」らしい。
そしていよいよ、私が紹介される番だ。
アニメの本場日本から来たのはどんな奴だ?
とても権威のある審査員を務めるのにふさわしい人間なのか?
そんな目で見られている気がして、とてもドキドキした。
MCが叫ぶ。
「さあ、みんな準備はいいかい?いよいよシンガポール予選PKラウンドの始まりだー!」
おーい!
すっとばされたよ俺!
つづく
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