スタッフが慌ててステージに走っていって、MCに耳打ち、やっと私が紹介された。
「あいつ忘れられてたみたいだぞ」というのが十分に客席にも伝わる感じのタイミングだった。
そして世界コスプレサミットシンガポール代表選考会予選PKラウンドが始まった。
因縁の対決だったわりにあっさり決着が着いた。
初めてコスプレの審査をする私も特に迷う必要がなくてよかった。
続いて行われたのは、アジアコスプレチャンピオンシップ・1人パフォーマンスの部だった。
この1人パフォーマンスと、翌日に行われる3人組パフォーマンスとの合計点でシンガポール、マレーシア、韓国、タイ、フィリピンの中からナンバーワンの国を決めるというのがアジアコスプレチャンピオンシップなのだった。
1人の演技と3人の演技という規定にしてあるのは、2人の演者によるパフォーマンスで競う「世界コスプレサミット」との差異化を図るためだろう。
韓国代表の男性が会場を沸かせていた。
去年の「世界コスプレサミット」で韓国代表だった人だ。
すごくマッチョな体をしている。
コスプレなのに上半身ほぼ裸なのだ。
その肉体を生かした激しいアクションが決まるたび観客が「HOOー!」という歓声を上げる。
1人の演技なので闘っている相手の姿は見えないが、相手に殴られて口から激しく血を吐いたシーンでも「HOOー!!!」
血を吐いているというのに大喜びなのだった。
つづく
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