番組の中で紅葉スポットを紹介することになっていた私に20代のHくんがこう言った。
「やっぱり相澤さんは『紅葉見に行こうよう!」って言うんですよね?」
甚だ心外だった。
私はハッキリと駄洒落なるものを嫌悪してきた。
それなのにHくんは「お茶目な中年は駄洒落を言うもの」と決めてかかっているのだ。
「言わないよっ!」
かなり強く否定したつもりだったが、Hくんは「またまたぁー」とニヤニヤ笑うばかりで、全く取り合わないのだった。
「キミの前で一度でも駄洒落を言ったことあったか?」と詰め寄ろうかと思ったが、やめておいた。
そんなことをしても「いい年してムキになって・・・」と言われてしまうだろう。
あーあ。
いい年って、ちっともいい年じゃない。
自分で自分の年齢を持て余している。
42歳という年齢の捉え方が本人と周りとでかなり開きがあるのだ。
そう確信したのは、その1時間後。
「あさってのロケで階段駆け上がりレースに挑戦してもらいます」とディレクターに告げられた私が思わず「やっべぇー、やっべぇー」とわめいたときだった。
またしてもHくんに笑われたのだ。
「相澤さん『やっべぇー』って言い方が若いですよ、ハハハ」
42歳の男が「やっべぇー」という言葉を使うのが滑稽に感じられたようだ。
私は別に若ぶって「やっべぇー」という言葉を使ったわけではない。
子供のときから、それこそ40年近く使ってきた言葉なのに、42歳になったら急に笑われたのだ。
確かに大人が使うにはあまり好ましくないかもしれないが、そのことを15歳以上年下の人から「笑われる」という形で教わるのは、つらい。
つづく
こんにちは。
言葉づかいは、確かに難しい一面がありますよね。
自分の意図とは違う意味合いで、他人に伝わってしますことが、私も多々あります。といって、言葉づかいばかりを気にして正確な意図を伝えることができないのでは、本末転倒のような気がします。
何かひとつひとつ説明しなくても、他人にうまく意図が伝わる方法がないものかと、夢物語のようなことを、ふと、考えてしまうときがあります。