蜩ノ記 インタビュー その3

2014年9月25日

相澤「監督はどうして『蜩の記』という小説を映画にしようと思われたんですか?」
   
小泉監督「200年前の侍にとってはね、切腹は日常茶飯事に近いことなんですけれども、すぐに腹を切らずに、10年の日々を過ごす人ってどういう人なのかな?そういうのを知ってみたい・・・。知りたいっていう思いが映画を作る大きな動機になるんでね。小説よりもスクリーンの中に立ち上げて、その人物に会ってみたいと。撮影の間、毎日のように秋谷に出会えたっていう喜びは大きかったですね。撮りながら、『素晴らしい人に出会えてるなあ』って思いを持って役所さんを見てたんですけど」
  

相澤「監督のほうから『こう演じてください』ではなく、役所さんに見せてもらっていたんですね?」
  

小泉監督「そうです。僕は何もしてるわけじゃないですから。ただ、演じやすい環境だけは、我々スタッフが作れるんですよ。それは感じとって頂けたかなと思うんですけど・・・」
  

役所さん「もちろんです。僕たちの仕事って、ないことをあるようにやること。ま、ウソをやることですからね。例えば、お芝居をしてる時にセットの中に電線とか、現代のものが目に入ってくるとどこかやっぱりこう・・・気持ちよくウソがつけないっていうんですかね。小泉監督の現場では堂々とウソをつけるような感じ、そういう場を与えてもらってる感じがすごくしました。
見事にいい準備をされてる組だなってつくづく思いましたね。衣装合わせとかカツラ合わせも監督がピンとくるまで何度も繰り返して、だんだんだんだん自分の体にしっくり収まってくる感じを味わえましたね。普通、そんなに何度も何度も衣装合わせはしないんですけど」
   

小泉監督「そういう風にやるもんだって教わったんですよ。僕だけじゃなく、スタッフも。一緒に黒沢さんの元で同じように育ってきた人たちなんで」
   

つづく
    
   

相澤 伸郎 @ 2014年9月25日 22:25

ページトップへページトップへ