2018年12月10日

ジェンヌ日和 第2幕

さてきょうのジェンヌ日和は

先のブログで少しお話しした「望海風斗」さんについて。


彼女は現在の雪組トップであり宝塚歌劇の人気を支えるスターのひとりです。

彼女の出演する公演は(ただでさえほかの組の公演もチケットが取りにくくなっている中)

ものの数分で完売してしまうほど絶大な人気を誇ります。

どれほど人気かといいますと、パソコン・スマホ・電話すべて販売開始5分前から

スタンバイし、(5分前じゃないと自動的にサイトからログアウトしてしまいますので...)

秒針時計をみて開始時間になった瞬間連打をしても

つながらない...

やっとこさつながったと思っても時すでに遅しなのです...

それほど苦労して奇跡的に取れたときは天にも昇る気持ちになります、はい。


なぜ、こんなに人気なのか?


そのひとつに「歌唱力」があると思います。

歌劇団ですから、舞台に立つジェンヌさんたちは、もちろん歌って踊って演じます。

音楽学校受験生のころから歌や踊りのレッスンをし、

音楽学校に入ってからも芸事を磨き続けていますが

そういった人たちの中で「歌える」という武器があるのはとても魅力的です。

(もちろん、「踊り」であったり「演技」が武器のジェンヌさんもいます。)


では、望海さんの歌はどんな魅力があるのか?

なぜずっと聴いていたいと思うのか...


「歌がうまい」と一言に言っても

・音程が正確

・音域が広い

・声量がある

など様々ですよね。


望海さんの場合、正確な音程・声量はさることながら

歌の表現力がピカイチ。

「生きた歌」

いえ「色気のある歌」なんです。

低音ボイスでささやかれ、歌われた日にゃあ

もう・・・・・!!!!!!!!(悶)

「わたし女性に生まれてよかった」と思わせてくれて

(望海さんも女性です、重々承知しております、でも、男役さんは別なんです)

さらに声量フルスロットルで歌い上げられたときなんか

昇天です。

歌声からGを感じ、圧倒され、

脳内にお花がばぁーっと広がり、ふわふわし、

生きててよかった...

という言葉のみ浮かぶのです。

圧倒的歌唱力すぎて「へっへっへっ」

とつい笑ってしまいます。

相手役の真彩希帆さんとの声の相性もすばらしく

舞台のたびに、この時間よ永遠に続いてくれ、幕よ下りないで...と願ってしまいます。


花組の下級生時代から歌唱力に定評があり

2014年のエリザベートでは出世役と言われているルキーニ役を演じたり

(このルキーニがこりゃまたよくて!!!!!!皇后エリザベートを殺害した犯人でストーリーテラーなのですが

時折でてくる狂気的な演技がすんばらしい。歴代ルキーニで一番好きです)


その後雪組に異動してからも2番手男役として

様々な作品でいかんなく演技力・歌唱力を発揮していたのですが、

「色気のある歌」を如実に感じたのは

望海さんのトップ就任お披露目公演「ひかりふる路」にて

革命家マクシミリアン・ロベスピエールを演じた際。


理想の世界を作っていきたい!という希望に満ちた冒頭から

理想と現実に悩み、苦しみ、恐怖政治に至るまでの葛藤、

そして恐怖政治をしていく中でのむなしさ...

歌声一つで感情がひしひしと伝わってきて

歌を聴きながら、聴いているわたしも同じように一喜一憂するのです。

こんなにも感情が忙しく動くことってあるのか・・・!と新しい自分と出会う瞬間です。

ちなみにその実力はブロードウェイなどで楽曲を手掛ける作曲家

フランク・ワイルドホーン氏に「実にすばらしい」と言わしめたほどです。


どうしたら感情を歌に、言葉に、のせることができるのか...

詳細は違えど

私もナレーションで感情を言葉にのせることがありますが

これが実に難しい。


声で感情を表現するとき、自分が思っている以上にオーバーにしないと

伝わらないですし、

はたまた、オーバーにしすぎるとわざとらしくなる...

「生きた言葉」

「色気のある言葉」を紡ぐのはこんなにも難しいものなのかと

日々悩んでいるところです。


そんな時、望海さんの歌を聴くと

小手先の技術だけでなく

自分自身の心を動かすことが大切であると

感じられるのです。

トップに就任してもなお作品ごとに進化し続ける望海さんを

これからもずっと見続けたいと思います。

岡田 愛マリー @ 2018年12月10日 12:49

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