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2005年06月 バックナンバー


2005年06月06日

クール・ビズ

6月2日(木)

クール・ビズの取材で百貨店へ。暑苦しいスーツ姿で出かけていって、ノーネクタイのクール・ビズ姿に変身するというレポート。百貨店の人にジャケットから靴までトータルコーディネイトしてもらって鮮やかに変身。ディレクターに「まさに使用前、使用後って感じですね」と言われた。

自分も鏡に映った姿にかなりの手ごたえを感じたので、一番手ごろな値段だったシャツを購入することにした。

店員さんに「脚、長いですね」といわれ、あやうくパンツも購入しかけた。さすが、プロの口車は乗り心地が違いますな。

撮影が終わり、自前のスーツ姿に戻ると、ディレクターに「使用前に戻りましたね」と言われた。

うっさい!明日からはクール・ビズじゃい!シャツだけだけど。

6月3日(金)

きのう買ったシャツを着て、他局の後輩アナウンサーと飲みに行く。

「これ、クール・ビズなんよ」

早速、いかにトレンドに敏感かをアピールだ。そこからファッションの話題に。

後輩ちゃんは以前よくベストを着ていた。私はかつてそんな彼の姿を見て、「アナウンサーのカジュアル、アナカジはベストだ」と結論付けたことがあったが、もう着ていないという。

「なにゆえ?」

「僕、6月からメインになりましたから」

かつて彼はリポーター的な役割で番組に出演することが多く、スタジオに登場するときも、わりと端に座ることが多かったのだが、今はメインMCとして真ん中に座っているという。真ん中で番組をしきるには、ベストよりもジャケットの方が落ち着いて見えていいそうだ。

アナウンサーファッション・ヒエラルキー。

ベストを着たアナウンサーよりも、ジャケットを着たアナウンサーの方が立場が上ということか。・・・・何か、江戸時代の農民が羽織を着ることを禁じられていて、庄屋さんクラスからOKみたいな感じだな。

2005年06月15日

もみあげに込めた思い

今、脳の衰退が叫ばれている。私の中で。いろいろな人や物の名前が出てこないのだ。

先日も髪をショートカットにしてきた女の子に「ハウルの動く城でキムタクが声をやってた魔法使い、なんていったっけ?あの髪型みたいね」と言ったところ、「あの魔法使いがハウルじゃないですか!」と突っ込まれてしまった。そういえばそうね。

脳の活性化の最も手ごろな方法として、「入ったことのない店に行く」というのがある。いつもの店に行って、「いつものやつ」なんて注文するのと、初めての店で見たこともないメニューの中から選ぶのとでは脳みその運動量がまるで違う。それに初めての店に入るとドキドキするが、このドキドキがとてもいい刺激になるらしいのだ。

「いっちょドキドキしてやるか!」そんな気持ちで美容室に行ってみた。もっぱら床屋さんを利用してきた私にとってはかなりドキドキ度の高い試みであった。

その店の入り口は「2001年宇宙の旅」を連想させる未来的なデザインになっていた。うっひょう。ドキドキするぅ~。受け付けで名前を書くと、「メガネお預かりします」と言われ、メガネを取り上げられた。メガネがないと全然見えないので段差でこけそうになった。

私の担当は若い女の子だった。これまたドキドキだ。これこそが美容室の醍醐味であろう。加藤ローサに似ていたと思う。メガネを外していたのでよく見えなかったけれど。

「本日担当させていただきます○○です。よろしくお願いします、相澤さん」

えっ!なぜ俺の名を・・・・受け付けで名前を書いたからだった。でもいきなり名前を呼ばれるなんてこと床屋さんでは考えられない。さらにドキドキ度アップした私から会話の口火を切った。これも床屋さんでは考えられないことだ。

「入り口のところは未来的なデザインだったのに、髪切る部屋は真っ白で、やたらシンプルですね」

「60年代風のデザインなんですよ」

ふーん。ただの真っ白の部屋もそういわれるととってもお洒落なものに思えるから不思議だ。

「あと角のところが全部丸くなってるのも特徴なんですよ」

確かに床と壁の境目や壁の四隅が全て丸みを帯びていた。そんなところを丸くしているヒマがあったらあそこの段差をなんとかすればいいのに。

「相澤さんいつも髪は短くしてるんですか?」

「そうですね」

「私もこのぐらい短くしてたことあるんですよ。昔剣道やってたんですけど、髪が短いと強く見えるから・・・・」

「えっ!面かぶったら髪形なんて関係ないじゃん!」

ちっとも腑に落ちないが、実際強く見えるらしい。あとポニーテールの人も強く見えるそうだ。ポニーテールなんて言葉久々に聞いた。こんな話題も美容室ならでは。「やっぱり剣道着は白だったのかい?」などという質問ができるのもまたドキドキしてよい。床屋さんだと「いやー、景気がねえー」なんて話ばっかだもの。

「相澤さん、もみあげはいつもどうしてます」

「いつもスパッと落としてます」

「伸ばした方がかっこよくなりますよ」

「そうかなあ」

「わかりやすい例がイチロー選手です。昔もみあげなかったですよね。今の方がずっとかっこよくないですか?」

確かにそうだ。今回はもみあげを落とさずに残してもらった。

今までもみあげを伸ばすなんて考えたこともなかった。伸ばした自分の姿を想像してみようとしなかったのだ。こういうところで脳みそを使わないから衰えてしまうのだ。いつもの店に行って「いつものやつ」と注文するのと同じようなことを私は日々重ねてしまっているのかもしれないと改めて感じたのだった。

2005年06月26日

北の国へ

弟の結婚式ついでに北海道の旅 その1

ちっとも梅雨らしくないけれど、梅雨入りしたらしい。子供の頃、雨の日にはよく人生ゲームをしたものである。

「祝い金20ドルちょーだい」

「ええーっ!おまえんとこまた双子生まれたのかよ!」

あのゲームは前半戦で遅れると結構焦る。先を行くプレーヤーたちの車は次々に結婚、出産のマスに止まり、車はピンクや水色の駒でいっぱいになっている。双子ばっかり生まれたヤツの車はもう駒を挿す穴が埋まっているので、ピンクの駒が一本横倒しになっている。それなのに私の車には水色の駒がポツンと一本立っているだけ。祝い金も払ういっぽうだ。・・・・あの時味わった気持ちを今、実人生においてリアルに味わっている。36歳独身である。

「ウチのダメ人間どもです」

3年前、親戚の集まりで私と弟、妹はこう母親に言われてしまった。まだ結婚していないというだけでダメ人間呼ばわりである。「ダメ」だけならまだしも、「ダメ人間」はひどいと憤ったものだが、最近は「ダメ人間だもの」とダメな相田みつを風に開き直ってしまっている。だっても認めるしかないもの。去年の12月に妹が結婚、そして今月弟が結婚することになったのだ。いよいよ一人取り残されたのである。

妹の結婚式には苦い思い出がある。披露宴パーティー中、父親が女性司会者を呼び寄せ「ウチの長男、アナウンサーなんだけど、(あなたのお相手として)どう?」と言い、やんわりと断られていた。その様子をやや離れたところから見ていた私の心には「生き恥」という言葉が浮かんでいた。

ブーケトスの時だって、こっちはおどけて「俺もとりに行かなくっちゃ」と言っただけなのに、親戚中から「もっと前に行け!」「そんなとこじゃ取れないぞ」という声が飛んだのだった。何たる鬼コーチぶり。そんなことがあったので、今回弟の結婚式に出席するのも正直気が重かった。しかも、新郎新婦とも関東出身、関東在住なのになぜか北海道で式を挙げるという。ますます億劫だ。こうなったら自分も何か結婚式とは別に楽しみを見つけなくては。そこでちょっと休みを取って、富良野観光をすることにした。

ここが富良野なワケで

『弟の結婚式ついでに北海道の旅 その2

富良野に行くに当たってまずしなくてはいけないこと、それは「北の国から」の復習だ。数あるシリーズの中から「’98 時代」をレンタルビデオ店で借りた。この作品では妹の蛍が結婚する。弟の結婚式に行く兄として心情的にダブる部分もあるだろう。きっとテンションもあがるに違いない。

ところが、テンションは激しく下がったのだった。どんより重い気持ちになってしまった。だって草太兄ちゃんが死んじゃうんだもの!この作品は以前にも見ており、草太兄ちゃんが死んじゃうことはわかっていたんだけど、改めて見るとその衝撃はあまりにも大きかったワケで・・・。

富良野に到着してからもそんな気持ちを引きずっていた。ホテルのレストランで夕食を食べている時も、北の国からのテーマのオルゴールバージョンが流れてきたりするので、また草太兄ちゃんの顔が浮かぶ。

「北の国からのテーマを作曲するのにどれぐらいの時間がかかったか、ご存知ですか?実はわずか30分なんです。さださんが倉本聡さんにギター一本持ってきてと呼び出されまして、そこで編集が終わったばかりの北の国からの第1話と第2話のVTRを見せられて、その場で作曲したそうです。本当は持って帰ってゆっくり作りたかったそうなんですが、最初の印象で作ってくれと倉本さんに言われて、その場で30分で作り上げたそうなんです」

翌日、北の国からのロケ地をめぐるバスツアーに参加した。バスガイドさんが北の国からにまつわるさまざまな薀蓄を披露してくれた。私は嬉々として聞いていたが、こんな話をしても修学旅行の高校生などはきょとんとしているらしい。北の国からを見たことがないというから仕方がない。喜んでいるのは引率の先生方ばかりだそうだ。修学旅行の行き先を決めるのは先生たちであるから、生徒の興味より自分たちの希望を優先しているということになる。

まず最初に「拾ってきた家」を見て、「丸太小屋」のある麓郷の森を回り、最後に「石の家」に向かう。ここでも北の国からのテーマ曲が流れていた。さださんがCDラジカセで「あ~あ~」言っていた。

「ずっとこの曲かけてるんですか?」入場券売り場のおじさんに聞いてみた。

「はい。ちっともあきませんよ」

愛されている。わずか30分で作られた曲が、こんなにあっちこちで一日中流されているんだから、何という効率の良さだろう。・・・・ちょっと感心の仕方が違いますかね?

石の家といえば、石の風呂が有名だ。この石の風呂に蛇がいた。脇には「この石の風呂には青大将の家族が住み着いています。いじめないで下さい」という看板があった。

「ぶっほっ!」

思わず噴き出した。青大将といえば加山雄三さんの「若大将シリーズ」で田中邦衛さんが演じた役ではないか!田中邦衛さんがいなくなった後の住人が青大将とは何と言う偶然か。でもこんな青大将つながりの面白さは、修学旅行の高校生どころか引率の先生たちにもわからないだろうな。

つづく

2005年06月28日

丘の上の教会で

弟の結婚式ついでに北海道の旅 その3

北海道のほぼ真ん中にある深川市。その深川市を一望できる丘の上の教会で弟の結婚式は挙げられた。

素晴らしいロケーションだった。緑の丘に白いウェディングドレスがとてもよく映える。そして、その後ろにはヨーロッパの田園地帯のようになだらかな大地が遥か遠くまで広がっている。

頬をさわやかな風が撫でる中、記念撮影をしている新郎新婦を見ながら、母親が「こういうの見てると、またあなたにプレッシャーかけたくなる」と言い、私をブルーにした。6月の鮮やかな緑の丘で、私の心は10月の海のような群青色に染まった。

式の前にリハーサルがあった。リハーサルには新郎新婦と両親だけ出ればよかったのだが、今回の式の出席者は新郎新婦の両親と兄弟、合わせて8人だけだったので、全員リハーサルから立ち会うことになった。こうなるともうリハーサルも本番もない。

リハーサルが始まり、新婦がバージンロードを歩き始めると、目にはもう涙が光っていた。バージンロードを歩ききり、エスコートしてきたお父さんの腕から手を離さなくてはいけないのに、なかなか離すことができない。回りの人々も目を赤くしている。そんな中ひとり「本番にとっておけばいいのに」などと考えている自分に気づき、愕然とした。本当にイヤらしいテレビマンの姿がそこにはあった。「マスコミ人である前に人間であれ!」大学のゼミの教授の言葉を今一度肝に銘じなくては。

さて、本番。新婦は泣かなかった。本番はしっかりやらなくちゃいけないという強い気持ちで臨んでいるのが伝わってきた。リハーサルも本番も両方見るとこういう感動もある。印象的だったのは弟の背筋がピンと伸びていたこと。あれは男の背中だった。いいものを見た。

つづく

2005年06月30日

旭山動物園の誓い

弟の結婚式ついでに北海道旅行 その4

弟の結婚式が終わり、私は家族と別れ旭川に泊まった。翌日どうしても行かなくてはいけないところがあったのだ。旭山動物園である。

「ペンギンにエサの魚をやるときは必ず頭の方から食べさせます。尻尾のほうから口に入れるとヒレやウロコが逆向きになってノドにひっかかってしまうんです」

動物にエサをやるときには飼育係の人が拡声器を持っていろいろと解説してくれる。また、写真やイラストをたくさんつかった手書きの解説ボードなどもいたるところに展示してあって、こちらはずっと「へえー」とか「ふーん」とか言いながら回ることができる。

エゾシカの檻の前には実際に手に取って重さを感じることが出来るように、本物の角が展示してあった。1200gあるそうだ。この角は敵と戦うためのものではなく、繁殖期にメスをめぐってオス同士でケンカするためだけのものである。そのためだけに2本合わせて2400gを頭に乗っけているのだ。

片方の角が抜けたシカの写真も展示してあった。シカの角は繁殖期が終われば根元からポロリと落ちるのだが、片方ずつ落ちるので、残りの一本が落ちるまでこんな状態で我慢しなくてはいけない。メスのためにオスは大変な苦労をしているのだ。

「本当によく広げてるねー。きのうはそれほどでもなかったんだけどねー、クジャクの気持ちはわからないよ」

クジャクの檻の前では飼育係さんがお客さんに話し掛けていた。こういうフレンドリーさもなかなか他の動物園にはないだろう。

「この羽根は繁殖期が終わると全部抜けちゃうんですよ」

クジャクの飾り羽根もシカの角と同様、メスを手に入れることだけが目的のものだ。全くバカバカしい。あんな目立つものつけていたら敵にだって見つかりやすくなってしまうのに。

ただ羽根を広げるだけではない。メスが通りかかるたびに羽根を真正面から見てもらえるようにメスの方向に体を向ける。走って追いかけたりすることはなく、ねっとりと熱い視線でメスを見つめながら、ひたすら羽根を見せびらかすのだ。中には羽根をブルブル小刻みに震わせてアピールしているヤツもいたが、メスたちはちっとも関心を示さない。プイと横を向いていってしまう。そのたびに「また振られたわよ」とお客さんから笑い声が起きる。

最初は私も笑っていたが、ふと「これだ!自分に欠けているものは!」と思った。振られても振られても、周囲に笑われたって気にせず女性に向かっていくガッツ。クジャクだ!クジャクになるのだ俺!そして大空へ羽ばたこう!旭川の大地に誓ったのだった。

アナウンサーの動画を見る!

プロフィール

【最近面白かった漫画】
「三月のライオン」
「とめはねっ!」
「宇宙兄弟」
「モテキ」
「へうげもの」
「もやしもん」
「こさめちゃん」
「犬のジュース屋さん Z」

【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
ニュースデータで解析!サンデージャーナル、特番など

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