記憶のメカニズム
とてもイヤなことがあった。
忘れようと思っても、何度も何度も勝手に頭の中に蘇ってくる。
ダメだ、これを忘れるのは不可能だ・・・と思っていた。
でも、あっさり忘れられた。
・・・・・別のイヤなことがあったのだ。
とてもイヤなことがあった。
忘れようと思っても、何度も何度も勝手に頭の中に蘇ってくる。
ダメだ、これを忘れるのは不可能だ・・・と思っていた。
でも、あっさり忘れられた。
・・・・・別のイヤなことがあったのだ。
明けましておめでとうございます。
正月は千葉の実家に帰りました。
妹夫婦の長男が2歳9か月になり、母親に見守られながら、トイレでうんちもできるようになっていました。
かなりの力作が生まれたらしく、「パパにも見せるぅー」と主張していましたが、さっさと流されてしまったみたいです。
そのあと私のところにやってきて「すっごいかたいの出た!」と報告してくれました。
がんばったんだね。
他局のアナウンサー、S君の家に呼ばれました。
S君の後輩の女子アナも来ていました。
S君の3歳の女の子が「きょうは2来るの」と言いました。
「きょうは2人お客さんが来ている」ということが言いたかったようです。
ところが、女子アナが私を指さして「1」、続いて自分を指さして「2だね」と相槌を打ったところ、女の子は「違う!」と力強く首を振ったのでした。
そして、まず女子アナを指さして「1!」、続いて私を指さして「2だよ!」
ワゴン車に乗って、ブルックリンへ行くツアーに参加した。
ガイド兼運転手の男性が難しい顔をしてこう言った。
「これ見てくださいよ。今朝やられてました」
ワゴン車のサイドミラーが両方ともきれいにはぎ取られていた。
自動車部品の盗難が多発しているそうだ。
盗まれた部品は中古自動車部品を扱う店に買い取られ、時にはそこで自分が盗まれた部品を買う羽目になることもあるとか。
それでも「昔だったら車ごと盗まれていたから、それに比べたら治安はよくなっている」ということらしい。
その車の中で、こんな光景も見た。
ドイツ製の高級外車が道路の真ん中で停まっていた。
一応、二つの車線が合流する三角州のようなところで停まっていたので、追突されることはなかったが、それにしても変なところで停車している。
ドライバーが鼻の下に手のひらを置いて、顔を上に向けていた。
鼻血が出たのか!
最初はそう思った。
「あれはコカイン吸ってますね」
近くにはウォール街があった。
ガイドさんの話ではコカインを吸いながら株の売買をする人が結構いるらしい。
そのほうがテンションあがるのか、感覚が鋭敏になるのか、よくわからないけれど。
そんなもの吸って運転って・・・・・やっぱりニューヨークは恐ろしいなあ・・・・。
ブルックリン橋のたもとの公園でたたずみながら、そんなことを考えていると、入れ墨をした怖そうな感じの男性の姿が目に入った。
目を合わせないようにしようと思ったが、私の目は彼ののど元の入れ墨に捉えられてしまった。
漢字2文字。
「家庭」
…意外といい人かも。
コーヒーショップで見知らぬおばあさんに話しかけられた。
「大学生?」
「いやいやいやいやいや、20年以上前に卒業しました」
「まああ、お若く見えるわねー。・・・・・結婚はしてらっしゃるの?」
「いえ・・・・」
「どうして結婚しないの?]
「なかなか難しくて・・・・」
「ふーん、ハンサムなのにねえ」
「いやいや」
「でも、あれね、街を歩いてると、何でこんな男がこんな美人と一緒なのかしらっていうのをよく見かけるもんねー。やっぱ、口がうまいのよね、そういう男は。結婚したかったら口がうまくないと・・・・」
そうか、俺は口がうまくないから結婚できないのか・・・・・。
アナウンサーなのに・・・。
「頑張ります」と言って、おばあさんに別れを告げたのだった。